脳の研究は驚くほど進んでいて、脳のどの部分に電気信号を与えるとどんな感覚が起こるのか、結構わかるようになっているようだ。その技術はすでに医療の現場に応用されていて、「両足を失った人が頭で考えるだけで義足を自由自在に動かす」といったことが現実になりつつある。素晴らしいことだと思う。
でもその技術が一番利用されるのは、たぶんゲームだろう。脳に電極をつなぐだけで、中世の騎士になったり、宇宙を駆け巡ったり、かわいいJKが次々と言い寄ってきたり…。自分が本当にその世界にいるとしか思えないリアルな体験が自宅にいながらできるのだ。バーチャルセックスをするゲームも出てくるだろう。絶世の美女とセックスし放題なんてゲームが登場したら、ただでさえ女に興味の薄い草食系男子は、ますます女性に興味を示さなくなりそうだ。
今でもゲームが面白過ぎて「ネトゲ廃人」が続出しているというのに、これ以上ゲームのリアリティが上がったら、ゲームの世界にのめり込んで現実放棄する人が続出するんじゃないか。映画「アバター」の主人公は、現実世界では下半身不随の車イス生活。でもアバターになると、超人的な肉体で野山を駆け回る。次第にどちらが「リアル」でどちらが「バーチャル」か分からなくなってくる。日本中の若者がアバターの主人公みたくなっても全然不思議じゃない。でも親が大金持ちでもないかぎり、最後に「リアル」が破綻するのは必至だ。
ソーシャルメディアを使えば使うほど幸福感が少なくなる、という研究もあるらしい。インターネットは確かに超便利だし、その進歩は今後も加速していくだろう。でも、それが本当に人間を幸せにしているんだろうか?